殿堂入りの君は、俺のもの
 つーか、え、え、え? な、何? さ、さっき“いいけど”って言ったよね吉村? お、俺の聞き間違い……?

「あの、読書中に悪いんですけど」

 俺は申し訳無さそうに言った。

「何?」

「さっき俺が告白したの、聞いてた?」

「うん」

「そ、そして“いいけど”って言ったよね? 付き合わない、っていう質問に」

「言った」

 美沙は冷静な声音で言った。俺は一瞬押し黙るが、気を取り直してこう尋ねる。

「そ、それって俺の事……好きってこと……?」

「あんまり好きじゃない」

 ――はは、なんだよ。やっぱり? だよなー、吉村みたいな文学少女が、俺みたいなちゃらんぽらん好きになるわけ……って。

「じゃあなんで付き合っちゃうのーーーー!?」
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