殿堂入りの君は、俺のもの
「え……?」

 ――そ、それって。

 俺の事、一番好きってこと? 他の男には、全く興味ないってこと? 俺以外に、“好き”の感情持っている奴いないってこと?

 わわわわ。なんて言ったらいいんだろう。ここで抱きつくのがいいのかな。いや、それとも……。

 って、俺が馬鹿みたいに困惑していると。

「……ん、眼鏡に埃が」

 そう言って、吉村は眼鏡を取った。そう言えば、今まで眼鏡を取った吉村見たこと無いや。まぁ、眼鏡をしている顔もブスではないけど……と、俺が何気なく眼鏡を拭きだす吉村を眺めると。

 ――衝撃が走った。瞬間、息が止まりそうになる。

 眼鏡のせいで小さく見えていたのだろうか。驚くほど大きく、黒目がちな瞳は、吸い込まれそうな光を放っていた。すっと通った鼻筋に、抜けるような白い肌。小さいが、形のいい唇。今まで重苦しいとさえ思えた長くて黒い髪は、サラサラとなびいて、吉村の整った顔により一層似合っていた。
< 13 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop