殿堂入りの君は、俺のもの
 世の中、かわいい子っていうのは結構いる。だけど吉村は……。

 掛け値なし。正真正銘、絶世の美少女だった。眼鏡でオタクっぽいとさえ思えた彼女は、眼鏡を取った瞬間、恋愛ドラマに出ても差し支えないほどの美しさだった。

「結婚してください」

 気づいたら俺はそう言っていた。そして言った直後に、また後悔の念が渦巻く。あわわ、俺何言ってんだ。いや、でも本心だけど……。

 すると美沙は、眼鏡を取ったままで、俺を驚いたように見つめた。……あ、幸せ。見つめられるなんて……もうちょっとそのまま……(もう俺変態でいい)。

 ……じゃなかった。今度こそ、怒ったかもしれない。軽々しく結婚なんて言うなんて……。

 しかし吉村は。

「は? 無理に決まってんじゃない、あんたまだ17歳でしょ? あと一年はできないじゃん」

 そう言うと、眼鏡をかけなおし、再び本を読み始めた。

 ――って、そういう問題か……?






 かくして、吉村のことが大好きな俺と、俺の事がちょっと好きな吉村の交際が始まったのだった。
< 14 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop