殿堂入りの君は、俺のもの
 俺が窓のほうから離れて、美沙に近づくと、美沙は眼鏡を拭きながらそう言った。

「いや、そう見えたんだけどなー」

「ふぅん……あ、さっきも言ったけど、私遅れるから」

「おっけ。……あ、そうだ。あのさ、朝コンタクトするなって言ったけど」

「うん?」

「やっぱりコンタクトにしていいよ」

「何いきなり」

「いや、深い意味は無いけど」

 ――だって、俺はコンタクトだろうと、眼鏡だろうと、君の事が好きだから。

 今、気づいたんだ。

 美沙の素顔を知ってから美沙に近づいてくる奴なんてロクな奴じゃない。今目の前にいる三人みたいに。

 そんな奴らに、俺が負けるわけ無いだろ?

「じゃあしようかな」
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