殿堂入りの君は、俺のもの
 え、何あの子。いや、そりゃいつも突拍子の無いことしますけど……。

 自分から、しかも人前でキスしちゃうような子だったんですか……?

 いや、多分人前とかそうじゃないとか、美沙にとっては大した問題ではなのだろうけど……したい時にする。きっと彼女の思考は、そう。単純かつ、大胆。

 ちらり、と教室の中を見てみる。例の男子三人組は、口をぽかーんと開けて、俺の方を見ていた。三人だけじゃない。教室に残っていたほかの奴らも、みんな唖然として俺を眺めていた。

 俺よりも途惑っている他人の様子を見て、やっと冷静になった。嬉しさと優越感が込み上げてくる。

 そして、俺は不敵に笑ってこう言い放ちながら、雑巾を洗うために教室から出た。

「ランキングとか、くだらねぇ」







 だって彼女はランキングには存在しない。ーー俺の殿堂入りなのだから。
< 28 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop