春を待つ君に、優しい嘘を贈る。
プロローグ
僕は知らなかった。
いや、知らないままでいようと、気づかないふりをしていたのかもしれない。
春のように温かいぬくもりに包まれたあの日から、ある気持ちが僕の中に生まれていたことに。
それは君という存在そのものに対して抱いていた。
必要性や価値を超えた、特別なこだわりだ。
人はそれを、何と呼ぶのだろうか。
僕はその答えを知りたいと思わない。
永遠に解かないと、ここに誓う。
【I hope you will be happy forever】
『馬酔木が僕をなき者にする』
< 1 / 381 >