春を待つ君に、優しい嘘を贈る。
「(紗羅、さん…)」
喉が焼けたように熱いというのに、声が出てくれないのは何故なのだろうか。
私の言葉が要らないから?この声を聞きたくない人がいるから?
それとも、紗羅さんを傷つけさせないため?
紗羅さんが楽しそうに笑っている声が、諏訪くんの背中越しに聞こえる。
今彼女はどんな表情をしているのか気になった。
本当の悪魔は私なのかもしれないけれど、前のように小悪魔のような微笑みを浮かべているのだろうか。
垣間見えた諏訪くんの横顔は、言葉では言い表しにくいものだ。そこから察すれば、紗羅さんも総長も私の想像通りの表情をしているのだろう。
「ふふ、相変わらず怖いなぁ、死神さんは。ね?夏樹」
「ああ」
諏訪くんの広くて大きい背中の向こうで、二人が笑っている。
とても、とても楽しそうに。
「しかも古織柚羽を庇ってるし。この前も庇っていたよね?何なの?」
自分の名前が聞こえ、反射的にギュッと手のひらを握りしめてしまった。その拍子に諏訪くんの背に触れてしまったからか、少し身を捩じらせ、私を心配そうに見つめる諏訪くんと目が合う。
喉が焼けたように熱いというのに、声が出てくれないのは何故なのだろうか。
私の言葉が要らないから?この声を聞きたくない人がいるから?
それとも、紗羅さんを傷つけさせないため?
紗羅さんが楽しそうに笑っている声が、諏訪くんの背中越しに聞こえる。
今彼女はどんな表情をしているのか気になった。
本当の悪魔は私なのかもしれないけれど、前のように小悪魔のような微笑みを浮かべているのだろうか。
垣間見えた諏訪くんの横顔は、言葉では言い表しにくいものだ。そこから察すれば、紗羅さんも総長も私の想像通りの表情をしているのだろう。
「ふふ、相変わらず怖いなぁ、死神さんは。ね?夏樹」
「ああ」
諏訪くんの広くて大きい背中の向こうで、二人が笑っている。
とても、とても楽しそうに。
「しかも古織柚羽を庇ってるし。この前も庇っていたよね?何なの?」
自分の名前が聞こえ、反射的にギュッと手のひらを握りしめてしまった。その拍子に諏訪くんの背に触れてしまったからか、少し身を捩じらせ、私を心配そうに見つめる諏訪くんと目が合う。