春を待つ君に、優しい嘘を贈る。
りとは何度目かの溜息をこぼすと、スマホをポケットにしまい、ワイシャツの袖を捲った。
机の上にある鞄をロッカーの中に乱暴に入れると、教室の外へと歩いていく。
「ちょ、篠宮!?」
聡美の呼びかけに足を止めたりとは、此方を振り向いた。
その表情は、無に近い。
何を考えているのかさっぱり分からない。
「…探してくる」
「諏訪を?」
「そう」
私たちはどうする?とでも言いたげな目で聡美が私を見た。
りとは諏訪くんを探しに行くという。
私も行きたい。広い校舎内を一人で捜すよりはマシなはずだ。
声は出ないけれど、見つけたら連絡すればいい。
あれ、でも、私はりとの連絡先を知っていたっけ…?
「(もちろん、行くよ)」
そう口をパクパクとさせれば、りとは頭を軽く搔き上げると、スマホを片手に歩み寄ってきた。
「…じゃあ、これ」
目の前に出されたスマホの画面に映っているのは、りとの連絡先らしい番号だ。私はそれを素早くメモ帳のアプリに打ち込み、コクコクと頷いた。
机の上にある鞄をロッカーの中に乱暴に入れると、教室の外へと歩いていく。
「ちょ、篠宮!?」
聡美の呼びかけに足を止めたりとは、此方を振り向いた。
その表情は、無に近い。
何を考えているのかさっぱり分からない。
「…探してくる」
「諏訪を?」
「そう」
私たちはどうする?とでも言いたげな目で聡美が私を見た。
りとは諏訪くんを探しに行くという。
私も行きたい。広い校舎内を一人で捜すよりはマシなはずだ。
声は出ないけれど、見つけたら連絡すればいい。
あれ、でも、私はりとの連絡先を知っていたっけ…?
「(もちろん、行くよ)」
そう口をパクパクとさせれば、りとは頭を軽く搔き上げると、スマホを片手に歩み寄ってきた。
「…じゃあ、これ」
目の前に出されたスマホの画面に映っているのは、りとの連絡先らしい番号だ。私はそれを素早くメモ帳のアプリに打ち込み、コクコクと頷いた。