異世界トランスファ
リッカさんは、話せば話すほど羨ましくなるくらい素敵な人だった。


そりゃもう私はボコボコに凹むくらい。


自分の不甲斐なさに落ち込む日々だ。


センリの10年前の彼女って事は同い年だったとして28くらいだろうか。


すらっと伸びたモデル体型。羨ましすぎ。


「ヒオリさん、お湯が!!」


「え?」



ボコボコボコ・・・ジュワアアア・・・

と大きな音を立て、鍋からお湯が溢れだした。


「にゃああっ!ごめんなさああい」


「大丈夫ですか?」



リッカさんはすぐにコンロの火を止めた。


「フフ、わかります。たまにありますよね、私もよく考え事をしててやりますよ」


「リッカさんも?」


「ええ」



とにっこりしながら遠い目をしてる。


考えてることはひとつ。


センリだろう。




今日の料理はパエリアとパスタ、パンやスープ。

いつもよりも豪華な食卓だ。

出来上がった料理はほとんどリッカさんが作ってくれた。


「旨い!リッカ店開けるぜ」


とギンは絶賛している。


「サラダもちゃんと食べてよ?」


サラダ担当の私。


「サラダは野菜ちぎっただけだろ。料理じゃねえ」


「むううう」



と私とギンのやりとりにリッカさんは楽しそうに笑っている。


「フフ、お二人は仲がいいんですね」


「誤解ですリッカさん」


私は食い気味で突っ込んだ。


「最近、意地悪ばっかりしてくるからもう面倒で面倒で」


「あら、意地悪したくなるくらい好かれてるんですね」


「ちょ、違うってーー!!」



キャッチボールもキャバ嬢並みに上手いわ。

恐るべしリッカさん。

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