異世界トランスファ
王はツカツカと私の方へと自ら赴いた。


「え?え?」


皆も私を見ている。

羨ましがる声も聞こえたが、半分妬みもあるかもしれない。

でも私には恐怖でしかない。

王という存在が。


王は私を無理やりに立たせると顔を覗き込んだ。


「お前、イザナギと一緒にいたそうだな」


「え!?」


イザナギって・・・ナギの事!?本名!?


図星な顔は王にバレバレだったのかもしれない。


「登録なしのオンナ。西の国かあるいは南か・・おそらく小さな村で育ったのだろうが」


いえ、2018年の過去です。

とは死んでも言えない!!


「イザナギのシュミがこの少年の様な女とは」


あれ?

今馬鹿にされた私・・・?

化粧したらそこそこ可愛いと思ったんですけど!?

自賛ですけど。



「まあ、いい。あいつを苦しめるにはお前が必要だ」


と他の女達に聞こえない様に、私の耳もとでそう言った。


な、何様なのこいつ!

ナギに似てる癖に!!


とつい睨み返してしまった。

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