異世界トランスファ
「あの、もう大丈夫です」

「そうか」

私が言うと、素直に手を放してくれた。


何この人、マジで普通のいい人なの?



「何か辛い事があったら言え。力になる」


「え・・・」



ニコリとほほ笑む姿に、何故かセンリを思い出す。

思わず目を逸らしてしまった。


王はそんな私を見て、突然の爆弾を投下した。


「私は、お前とセンリは愛し合っているのだと思ってな」


「はい!!?」


驚きの発言だ。思わず大きな声を上げてしまった。



「あ、いや・・そんな訳ないです。ありえないです」


「そうか?私にはそう思えたんだが」



誤解すぎる。

というか、それは私が騙されていただけの話だから。



「センリもよくヒオリの事を私に教えてくれて、それは楽しそうだった」


「そ、それは・・お芝居だったんです。私を言いなりにしたかったから」


「私にも芝居で楽しそうに言っていたと?」


「え・・それはちょっとわからないですけど」


「だからな、センリがお前を好いているのなら・・私はそこに入り込もうなんて思っていなかった」


「そんな事・・」


信じられない。

もう全部信じられないから。

あれは全部嘘だったんだから。

俯いて私は答えた。


「違うって本人が言ったんだから・・違うんじゃないんですか?」


「・・ふむ」


王は何か考えている様だったが、私には見当もつかない。


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