異世界トランスファ
「ヒオリ、入るよ」


「はい・・」


私のいた奥の部屋にセンリは入ってきた。


「顔色が気になったから来たんだけど。気分はどう?」


「え?気分・・・?」


何故ワザワザ気分を聞きに来たの?


変な人。


センリは私の顔をジッと見つめ、眺める。


「顔色もいい。薬が効いたかな?」


あの薬湯の事?


「センリが用意してくれたの?」


「ああ。ヒオリの事を思って」


「そうなんだ・・・」


と私は素直に頷いた。


するとセンリは満足そうに微笑んだ。


「嫌な事は全部忘れて、幸せに生きるんだよ」


「・・・幸せに・・うん。わかった」



コクリと頷くと、センリは私の頭を王みたいによしよしと撫でた。


「後一時間したらトキワ様も仕事が終わるから、仲良くな」


「うん」



なんだろう。悲しみだったり憎しみだったりあったハズなのに。

気分がいいからかな?

思い出せないの。

なんでも許してしまう様な広い心な気分で。

< 331 / 850 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop