異世界トランスファ
その頃のギンとナギはというと。


ナギは絶対安静の為、城の医療処置室で寝かされていた。


そしてギンは牢屋に入れられたまま。


「ちっくしょ・・どうしたもんか。城って事は警備も万全だろうし・・鳥になっても網で捕まっちまいそうだぜ」


結局何にも出来ねえのかよ。ダセぇな俺。


と、くさくさしていると、誰かの声がした気がした。


「ん?」


ギンは耳を澄ませる。


(・・・ン・・・ギン)


どうやら自分を呼んでいる気がする。


「誰だ?俺の名前を知っているヤツは・・ヒオリかセンリくらいしか」


と、辺りを見回すと地面がボコッと動いた。


「なっ!?」



驚きすぐに避けると、地面の木材が外れた。



「は?お前・・・」


(ギン―ー!逢いたかったわあああ)


とヒソヒソ声の犯人はカサネだった。



「お前・・すげえ。どうやって」


カサネは上がっては来ず、ヒソヒソと会話を続ける。


(東の城が襲撃されたってイタルっちに聞いたのよ!そしたら捕まったっていうからもう、必死でここまで来たの)


凄い執念だ。

おみそれしたわ。


「つか、お前何そのワザ。どうやってきたわけ」


(仕事仲間のミコシちゃんがモグラになれるから、手伝ってもらったのよ~)


「マジか。すげえな」


(でね、私の祖先て忍者っていう、ヒソヒソと忍ぶ芸を持っていて、私はそれを受け継いでいるってわけ)


「おお、なんか聞いたことある。隠密行動が出来るって」


(そうなの。うふ。だから、来ちゃった)


「来ちゃったっておい」


しかしギンは閃いた。

カサネを使うしか方法はない。


「おい、ピンチなんだ。助けてくれ」

(もちろん)

「いや俺じゃない。ヒオリだ」

(え?ヒオリん?どうしたの?)

「あいつ、西の王に捕まってんだ。場所を探ってきて欲しい」

(マジ?それは大変ね!わかった)

「おう、恩に着るぜ」

(報酬は?)

「え・・・取るの?やっぱ」

(命かけてんのよ?当たり前でしょ)


くそ。そうきたか。


「わかった。一週間ほっぺにチュウしてやる」


(きゃあああ~~~♡がんばっちゃう~~~)


「馬鹿!バレるだろうが!!早く行ってくれ」

(うん!いってきまーっす)



とカサネは張り切ってまた地下さらに下に戻っていった。



「とりあえず、イケるかもしんねえ。待ってろよヒオリ」


とギンは拳を握った。
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