異世界トランスファ
戸惑った様子の私を見て、王は優しく離れた。


「今夜はここまでとしよう。今はまだ気持ちに整理が出来て居なくて当然だ。
ここで暮らして、ゆっくりと決めてもらって構わない」


「あの・・はい・・すみません」


なんて寛大。というか余裕が凄すぎて。

この人は神なの?って感じの雰囲気に圧倒される。

従いたくなるオーラがある。天性のカリスマってヤツ?

凄い自信だ。



「じゃあ・・これからあなたを何て呼べば良いですか?」


「なんだ、そんな事か。好きにしてかまわないが・・強いて言えば名前の方が嬉しい」


「じゃあ・・・トキワ・・様で」


「フフ、ぎこちないがすぐに慣れるだろう。これからよろしく頼む」


ぽんと頭に手を置かれる。


「は、はい」


くすぐったい気持ちと、穏やかな気持ちで心が溢れた。

この人は嫌いじゃない。



「ゆっくり休め。ではな」


このすぐに手を出してこない感じも紳士的で素敵だ。

ますます嫌いじゃない。



「おやすみなさい」


お辞儀をして、私は部屋を後にした。


私が出て行った後、トキワ様は何か想い馳せている様だった。


「センリ・・・か」

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