異世界トランスファ
センリは東の城に着くと、自分の配下たちに命を下した。


「最深部の女性達を集め、今後を説明する。用意しろ」


「御意!」


一斉に兵士達は動き始まった。


「これでいい。あの方は・・正しいのだから。リッカ。見ていてくれ」


と、宙を見上げた。


センリは10年前のある日を思い出す。


リッカは自ら城に入ってくれた。

俺の為に。




10年前___。


「本当にいいのか?内部の状況もよくわからないのに・・」


「それはこの前帰ってきた叔母に聞いたから大丈夫よ。それに、私はセンリの力になりたいの」


「リッカ・・・なんでそんなに俺の事を」


「え?好きだからでしょ。それに私、すぐに出てこられるわ」


「え?・・」


「もともと弱い体だし。だから情報も伝えてあげられるわ。楽しみにしてて」


と屈託のない真っすぐな笑顔でリッカは城へ入っていった。

俺が解放軍に入っていると告げたから。

本当はトキワ様の為に内部が知りたかっただけなのに。

でもリッカのやってくれたことは無駄じゃない。

現にこうして東の女性達は解放できた。

正しかったんだ。


「リッカ。ありがとうな・・」


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