異世界トランスファ
30分くらい飛んだろうか。

私は恐怖と疲れのあまり気を失っていた様だ。


「おい、起きろ・・ヒオリ」


「大丈夫かー?おーい?」


と目の前から声が聞こえる。


「ん・・」


私はゆっくり目を開けた。

すると、嬉しそうな顔をした男二人。


「良かった。死んだのかと思ったぜ」


「死んだら助けた意味ねえしな」


「あの・・・」


二人は私を抱きしめた。

突然だ。


ぎゅうううう。


「ぐえええええっ」


苦しいってば!圧迫死するってのおお!!


「苦しいし、一体なんなんですか!」


と敬語な私。


「まだ、記憶ないんだ?」


「しょうがねえな。カサネに貰ったこれやる」


とポケットから取り出した薬を持たされる。


「ほい水、さっき買ってきた」


「え・・」


買ってきた?

と辺りを見回すとそこは小さな町の外れの様だった。


アスファルトの壁があり、誰もいない様だが。


「これ、何?」


「記憶を取り戻せるらしい」


「記憶?」


きょとんとしていると、ギンは残念そうに私を見ている。


「お前はトキワに記憶消されてんだよ」


「え?何それ」

「いいから!早く飲む!」


ナギは私の手の薬を無理やり口に運んだ。


「んぐっ」

ごくごくごく


水と一緒に流し込む。


「これ、副作用とかあったっけ?」

「まあ、ちょっと初めに苦しいらしいけど」

「え?」


飲んじゃったよ!

何苦しいって!!!

と思った瞬間だ。


ズッキン!!!


と未だかつてない頭痛が私を襲った。
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