異世界トランスファ
「へえ、どう責任取ってくれるんですか?あなたとセンリのおかげで職も失ってるんですけどね。こっちは」


とギンは挑発的だ。

なんだかその辺のゴロツキみたいな言い方なんですけど。

というか、そういう責任なんですかね?と私は首を傾げた。


「そうだな・・お前は確か東の国の全警備の隊長であったな。同じ職をやろう。
もしくは、私の近衛としてヒオリを守って欲しい。給与も今までの5倍やろう」


「5・・・う、うぐっ」


ギンはダメージを食らった。

王の眩しさにやられたのだろうか。

それとも給与5倍にやられたのだろうか。



「俺はなんにもいらねえ。だからヒオリを自由にさせろ」


とナギは言い切った。

私は少し目がしらが熱くなった。

素直に嬉しく感じたよナギ・・。



しかし王はあっけなくその願いをスルーした。


「お前はセンリから聞いているぞ。東の王の息子だとな。王子の位はまだ健在だろう」


「だ、だったらなんだっていうんだ・・殺すか?」



遠くでツカサ達がざわついている。

まあ、王子ってわかったら流石に驚くよね。というか引くか。

ただの不良にしか見えないし。



「いや、お前がよければセンリの後を継いでほしい。東の国はセンリが請け負っていたが・・
いなくなったのであれば、ふさわしいのはお前だろう。
王として東の国を導いてもらって構わない」


「な・・なんでだよ!?お前は国が欲しくて兄貴を殺したんじゃねえのかよ」


「それは違う。あの男はやり方が汚な過ぎたのだ。だから制裁したまで。
女達を解放した今、東国は自由だ。皆喜んでいると聞いたぞ」


「う、うう・・」


ナギは私の後ろにたじろいだ。

ごもっともな発言だもんね。


「どうする?」


と最後に王は二人に振った。


二人は私を一度見ると


「考えさせてくれ」


と引き下がった。

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