異世界トランスファ
「センリの分までお前を護ると決めた」

「トキワ様・・」


その言葉につい手が止まってしまった。

王は起き上がると私を見つめてきた。

レモン色の瞳で。


「センリの事を忘れなくていい。いつも心にとどめておいていい。
私もそうする。だが私はお前の愛が欲しい、これはワガママか?」


恥ずかしすぎて顔を背けました。

すぐに。


「そ、それは・・」


「これは私の義務だ。お前がこの時代に来てしまったのは私のせいなのだから。
だから私は精一杯お前の傍で尽くしたい」


「義務って・・ちょっと変ですよ」


「そうか?だが、これは私の天命だと思っている」



天命って。

そんな大げさな。

超絶真面目な人なんだろうか。

このお人は。



「お前はもとの時代へ帰りたいか?」


センリにも聞かれたやつだ。


「・・・いえ、今は・・」


「ならば、私の傍にいて欲しい」


きゅっと手を握られ、私は俯いた。

困り果てる。


「ありがとうございます・・トキワ様。でもこの先なにが起きるか・・わかりませんし・・その・・」


「そうだな・・気が早まった。許せ」


「いえ・・」


いい人なのは知っている。

王なのに気を配ってくれる。

私はこの人の事嫌にはなれない。

だって善い人にしか見えない。
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