異世界トランスファ
が。


全然見つかる気配がなかった。

以外と街は賑やかで人も沢山歩いているし店も多い。

女の人は逃げていた様な走り方だったので何処かに隠れた可能性も高い。


「何処～・・」


走り回ってヘロヘロになった。


「こう人が多いんじゃな。どうする？」


「でも、あの人困ってると思うんだ・・私みたいに頼れる人なんかいないと思うし」


「お前、自分の事よりも他人の心配かよ」


「だって」


体験しているからわかる。

知らない場所へ来てしまった時の不安。

そして恐怖を。


「怖いんだよ？私なんか、ナギたちに食べられるって思ってたんだから」


「ハハ、そういやそうだったな」


笑いごとじゃないんだよ。

人に混じって虎とかオオカミとか猛獣の人間だっているんだから。


「もう少しだけ探してみよう？隠れやすそうな場所とかさ」


「しょうがねえな。行くぞ」


ナギは全然疲れてない感じ。

私の手を取って走りだす。


「ナギ、足早すぎ―」


「お前が遅すぎんだ」


すっかり肋骨の骨折は完治しているみたいだね。


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