異世界トランスファ
「なんか、悪くねぇな」


「へ?」


ナギの言った言葉が理解出来なくて首を傾げた私。


「こうしてるとデートっぽいし。自由な感じするだろ」

「え・・」


そういやナギ、ずっと私の手を握ってる。

走ってた時も、座ってる今も。

私の手を上から握ってる。

急にドキドキさせてくる。


「あの家にずっと閉じこもってた人生だったから、こういうの悪くねぇなって」


「あ・・そういう事」


ひっきーさんな感じだったもんね。

出会った頃のナギは。

確かに今のナギは、ちょっと大人になって、逞しいのもわかったし。

変わったなあと感じる。まだ出会って3ヶ月も経ってないのに。ずっと近くにいて。

素直じゃないのは変わってないけど、素直に笑うようにもなったんだよね。


「15才で学校行かずに仕事につくなんて、すごい事だよナギ」


「あ?そうか?」


「うん。私のいた時代は基本出来ないから」


もちろん訳があって学校へ行けない子とかいない訳じゃない。

でも一般論はそうだ。


「大学まで行かないときついって言われてる時代だったなあ」


「そんなん、人それぞれだろ」


「それはそうなんだけどね、よくわかってるねナギ」


「馬鹿にすんな。ヒオリの癖に」


と頬をぎゅーっって抓られた。


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