異世界トランスファ
「トキワ様、東の城にあったセンリのバッグの中にこれが」


イタルさんは暗い顔でそれを取り出す。


「これは・・」


ぐしゃぐしゃになった沢山の書類だ。


「どういう事・・?」


バッグに無理やり詰め込んだみたいに、丸めてあったり、ちぎれていたり。

大切な書類だったら何故?

トキワ様は真っ先に私に見せてくれた。


「ヒオリ、これがセンリの答えだな」


「え?」


ぐしゃぐしゃになった紙を丁寧に開いて。


「あ・・・」


一瞬で私の目に涙が浮かんだ。


だって


だって


朱い文字で


『ごめん』


て書き殴ってあったから。

しかも私に解る文字で。

私に書いてくれたって事なんだってすぐに察した。



「セン・・リ・・」


「あいつは仕事にも忠実だった。懸命に、試行錯誤したのだろう。国の為や私の為に・・・。
だがお前に実際に出逢って、申し訳ない気持ちが強くなっていったのかもしれないな」


「はい・・・そうだと・・嬉しい・・です」



言葉を失ったよ。

この3文字が心に強く刺さったから。


そして想いが溢れだした。

センリの顔が見たくなった。声が聞きたくなった。

もう二度と逢えないって分かってるのに。
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