異世界トランスファ
その日は会議もひと段落にして休む事になった。
私が眠れず部屋で過ごしている間、ギンは街にイタルさんと飲みにいったらしい。
もう夜更け、夜中一時を回っていた。
「お疲れ」
「おう」
ビールが運ばれるたびに何度も乾杯しながらギンとイタルは近況を報告し合った。
「まさかお前が来るなんて思ってなかったからなぁ。ある意味安心したわ」
「俺だってそうだぜ。手紙くれたろ?今南の国にいるって」
「ああ。色々あったんだ」
「俺はお尋ね者になったって聞いてたぜ」
「ハハ、やっぱそうか」
ギンはおつまみの枝豆をプチプチしている。
「まさか西の王の嫁を攫うとはな。気でも触れたか」
「は?気が触れたのはあの王だぜ。いきなり横取りしてきたんだから」
「へぇ。あの子?」
仮にも仕えている目上の人だと言うのに平気でギンはののしる。
だがイタルはそんなギンを昔からお見通しだ。
「ああ、実はあいつは俺が保護した子だったんだ。今日話に出た過去から来た子」
「すげぇ話だよな。いまだに信じられない」
とイタルも枝豆を突いている。
「ああ、しかもそれを止めなきゃならねえし」
「止める?俺は悪いが、センリのやってることも一理あると思った口だ」
「お前・・・マジかよ。普通に可哀想だろ?ヒオリみたいに無理やり連れてこられて。お前どうするよ?自分が知らない世界来ちまったら。絶望感じるだろ」
「まあな。ギンは自分の事みたいに考えられるんだな。こんなご時世でも」
「・・・そりゃな・・あいつと一緒に暮らしてそう思った」
「へぇ・・」
とニヤニヤと嬉しそうだ。
「女が大好きなお前が一人に執着するなんて、やっぱ国滅ぶかもな」
「おい。縁起でもねぇこと言うんじゃねえ」
ギンはイタルの首を腕っぷしでホールドした。
「ぐえっ・・悪かったって」
「ったく」
ギンはビールを一気に飲み干す。
「俺も確かに、なんで女が城に行かなきゃならねえんだって毎日くさくさしながら仕事してたな。マガナギのやり方にはずっと不満はあった」
「ああ、その分トキワはいいじゃねえか。俺はこうなって良かったって思ってるぜ」
「まぁ・・少しはマシかも知れないけど、なんにも変わらない。女が増える訳じゃないし」
「ああ。そうだ。これ見ろ」
「なっ!!」
イタルは自慢げに自分の左手の薬指を見せてきた。
シルバーの指輪がキラリと光る。
「いつの間に!?」
「お前が南にいる間にだよ。城から女性が解放されたんだ。今東の国は一般市民も幸せのさなかにいるよ」
「マジかよ。くそー・・」
ギンは羨ましそうに指を見ている。
「トキワ様のおかげってやつ」
「俺はあいつのおかげで好きな女も手に入れらんねえっての!」
「ハハハ。惚れた相手が悪いな」
「ふん」
不貞腐れたギンだ。
「今じゃ俺が東の警備を任されてるんだ。俺はまた一緒に働きたいって思ってるんだけどな」
「・・悪い。今はやっぱヒオリの傍にいてやらねえと」
「まあ、そうだと思ったよ。今日のお前を見てたら。仕方ねえよな」
「ああ。今後どう転ぶかは誰にもわかんねえ。だけど、一日一日を大切に使いたいってようやく思えたからな・・」
「成長したね、ギン君」
「うっせ」
私が眠れず部屋で過ごしている間、ギンは街にイタルさんと飲みにいったらしい。
もう夜更け、夜中一時を回っていた。
「お疲れ」
「おう」
ビールが運ばれるたびに何度も乾杯しながらギンとイタルは近況を報告し合った。
「まさかお前が来るなんて思ってなかったからなぁ。ある意味安心したわ」
「俺だってそうだぜ。手紙くれたろ?今南の国にいるって」
「ああ。色々あったんだ」
「俺はお尋ね者になったって聞いてたぜ」
「ハハ、やっぱそうか」
ギンはおつまみの枝豆をプチプチしている。
「まさか西の王の嫁を攫うとはな。気でも触れたか」
「は?気が触れたのはあの王だぜ。いきなり横取りしてきたんだから」
「へぇ。あの子?」
仮にも仕えている目上の人だと言うのに平気でギンはののしる。
だがイタルはそんなギンを昔からお見通しだ。
「ああ、実はあいつは俺が保護した子だったんだ。今日話に出た過去から来た子」
「すげぇ話だよな。いまだに信じられない」
とイタルも枝豆を突いている。
「ああ、しかもそれを止めなきゃならねえし」
「止める?俺は悪いが、センリのやってることも一理あると思った口だ」
「お前・・・マジかよ。普通に可哀想だろ?ヒオリみたいに無理やり連れてこられて。お前どうするよ?自分が知らない世界来ちまったら。絶望感じるだろ」
「まあな。ギンは自分の事みたいに考えられるんだな。こんなご時世でも」
「・・・そりゃな・・あいつと一緒に暮らしてそう思った」
「へぇ・・」
とニヤニヤと嬉しそうだ。
「女が大好きなお前が一人に執着するなんて、やっぱ国滅ぶかもな」
「おい。縁起でもねぇこと言うんじゃねえ」
ギンはイタルの首を腕っぷしでホールドした。
「ぐえっ・・悪かったって」
「ったく」
ギンはビールを一気に飲み干す。
「俺も確かに、なんで女が城に行かなきゃならねえんだって毎日くさくさしながら仕事してたな。マガナギのやり方にはずっと不満はあった」
「ああ、その分トキワはいいじゃねえか。俺はこうなって良かったって思ってるぜ」
「まぁ・・少しはマシかも知れないけど、なんにも変わらない。女が増える訳じゃないし」
「ああ。そうだ。これ見ろ」
「なっ!!」
イタルは自慢げに自分の左手の薬指を見せてきた。
シルバーの指輪がキラリと光る。
「いつの間に!?」
「お前が南にいる間にだよ。城から女性が解放されたんだ。今東の国は一般市民も幸せのさなかにいるよ」
「マジかよ。くそー・・」
ギンは羨ましそうに指を見ている。
「トキワ様のおかげってやつ」
「俺はあいつのおかげで好きな女も手に入れらんねえっての!」
「ハハハ。惚れた相手が悪いな」
「ふん」
不貞腐れたギンだ。
「今じゃ俺が東の警備を任されてるんだ。俺はまた一緒に働きたいって思ってるんだけどな」
「・・悪い。今はやっぱヒオリの傍にいてやらねえと」
「まあ、そうだと思ったよ。今日のお前を見てたら。仕方ねえよな」
「ああ。今後どう転ぶかは誰にもわかんねえ。だけど、一日一日を大切に使いたいってようやく思えたからな・・」
「成長したね、ギン君」
「うっせ」