異世界トランスファ
「ギン」


「よう、そろそろ頭は大丈夫か?」


「うん、大分痛みも引いたし・・あの、ナギは?」


私は大げさにされた包帯を取っていた所だった。


「街にはいないな。たぶん家に帰ってるんだと思う」


「え?あ、そうか・・そこなら」


引きこもってるって事ね。自分の部屋に。


「ああ、すぐに行こうと思ってるんだけど」

「私も行く!絶対行く!」

「わかってるって」


ナギは自分を追い込んでる。

ナギのせいじゃないのに。

言わなきゃ、勝手な事をしたのは私だから。

もう一度ちゃんと謝らなきゃ。




突然ギンは部屋をキョロキョロしている。


「あれシズクは?」


「ちょっと出かけるって言って出て行ったよ」


「へえ。じゃあ今、この部屋には俺とお前だけって事か」


「へ?ああ、そだね」



何その意味深な発言。

何を企んでいるんだこの男。


突然ギンは扉についている鍵をかけた。

ガチャリという音が聞こえたから私は即座にビビった。



「ちょ、何してるの」

「・・・」


ギンは突然無口になって私の方へ向かってきた。

真顔だ。
< 574 / 850 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop