異世界トランスファ
コンコンコン


ドッキン!!

私の心臓は跳ねあがる。

お約束の様にちょうどいいタイミングでノックが聞こえた。


「・・ち。嘘だろ」


ギンはとてつもなく残念そうな顔してる。


「神様は残酷だな」


「ぷっ・・何それ」


思わず吹き出してしまう。

ギンはもともと面白い。

ロマンチストなところが。


「俺はこのままお前を最後まで俺のもんにしたかったんだけど?」


ドキッ


「だ、駄目駄目っ、馬鹿ギン」

「なんで駄目なんだよ。ったく」


もう一度最後にぎゅううううっ

と私を抱きしめ


「ずっと俺の傍にいろ。な?」


「・・・ん」


小さく頷いた。

ギンはそれを見て満足そうに笑うと、扉にかけていた鍵を開ける。


「ギン?何してた」


と怪訝そうにセンリは言う。


「説教してた」


「何?」


なんじゃそりゃ。

確かに出だしはそんな感じだったけども。


「支度は出来たのか?」


「ああ。特にもっていくもんねーし。私物はマンションだし。このままいく」


「そうか。ヒオリは?」


ドキン


まださっきのギンの余韻が残っていて、センリの顔を見る事が出来なかった。

ワザと慌ててるそぶりをしてごまかした。


「あ、今ねやってたの準備!もう行けるから」


「そうか、では外に馬車を用意してるから」


「うん!」


センリは頷いて部屋を出た。
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