異世界トランスファ
一時間後のこと。

広間では立食パーティー形式のテーブルが置かれ、ビュッフェが皆のテンションを上げた。


ギンとイタルの率いる選ばれし隊士たちが大勢集まっていた。

ワイワイと食事を楽しんでいる。


私はというと、相当浮かない顔してたらしい。

近くにいるトキワ様が心配してる。

ナギも肉を頬張りながらも、私の様子を伺っているみたい。


「どうした?ヒオリ?」


「あ、いえ・・なんでも・・」


「何かあったか?」


ふるふると横に首を振るのが精一杯です。


「折角なのだから楽しんでもらいたいと思うのだがな」


「楽しいです。料理も美味しいし・・」


「そうか?」


いっそトキワ様が悪い人だったら、簡単にはっきりと言えるのに。

なんて・・私って小さい人間だな。

駄目駄目だ。

それから気になるのはずっとギンの席だ。

左斜めに見える、奥の席。

侍女達も楽しそうにお酒を注ぎながら笑っている。

心がモヤモヤして気が気じゃない。

完全なる嫉妬。


確かに私だって男の人と喋るけどさ、でも必要以上にニコニコしすぎじゃない!?

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