異世界トランスファ
広間へ入ると、兵士達がピシッと整列をしていた。

前の方にギンとセンリ、それにこの城の偉い方々が立っている。

ナギが入り口近くに立っていた。待っていてくれたみたいだ。


「よう」


「ナギ・・凄いね」


「ああ、ヒオリは見るの初めてか。こういうの」


「うん」



不謹慎だけどカッコいい。皆黒を基調とした軍服を身にまとっている。

アニメとかドラマとかでしか見たことないもんねこういうの。

凄く新鮮に感じた。


「あ、あれって・・」


ツカサさんを見ると、とても心配そうに眉をしかめていた。


「ああ、アサギもツムギもクレハも行くと言い出して聞かない。
昨日の会議にも無理やり参加してたし」


「そんな・・危ないのに」


「俺も何度も止めたんだけど・・逆にもう関係ないから放って置けとまで言われたよ」


「え?関係ない事なんか・・・」


絶対にツカサさんの為でしょうに。


「この時代の女性はまっすぐで素直だ。だからこそ、怖いもの知らずなんだ」


「凄いですね・・私も行ければ良かったのに」


「え?ヒオリちゃんはいざというとき戦える物を持ってる?」


「あ・・いえ・・そっかそういう事なんですね」


「うん。無理はしない方がいい。俺達はこの時代の人間じゃない。祈ろう?」


「はい」



ツカサさんの言う通りだ。

私が行ったところでなんの役にも立たない。

むしろ何かあった時に足手まといになってしまう。

やっぱり祈ることくらいしか出来ないのか。


「はぁ・・」


「緊張するね」


コクリ。

と静かに頷くと、前の右側からトキワ様が出てくるのを見つけた。

もちろんキリっとしてる。

いつもの優しいトキワ様じゃない感じ。

いつもよりも更に神々しく見えた。

全員の頂点に立つ者だ。
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