異世界トランスファ
あっという間に大広間はがらんとした。

人がいなくなって寂しい風が吹き抜ける。


私は見送った後トキワ様が気になって仕方なかった。

ギンの事と体調の事両方だ。



「ヒオリ、おはよう。よく眠れたか?」


「トキワ様・・体調はいかがですか?」


「ああ、一晩寝たら治ったから心配するな」


「良かった」


なら大丈夫そうだ。

そうほほ笑んだ後、トキワ様はナギを見てしかめた顔にすぐに切り替えた。


「ナギ、服装はどうした」


「え・・いや、あれは昨日だけって」


「駄目だ。毎日王子らしくいなさい」



まるで威厳のあるお父さんと息子の会話。

笑えてしまう。



「えー、動きずらいし。面倒だな」


「お前はこれから変わるのだろう?ヒオリも昨日の格好には喜んでいただろう。見せてやれ」


「面白半分ですよ、ヒオリは」


「つべこべ言わず、さっさと来なさい。後、ここの大臣達と話をするから」


「ちっ・・・またなヒオリ」



そう言ってナギはトキワ様に連れて行かれてしまった。


「お父さんみたいだね、トキワ様」


「フフ、はい」


ツカサさんと私が取り残されたので朝食に誘ってみた。

起きてここへ来たからまだ食べてない私だ。


「ツカサさん、ご飯食べました?」


「いや」


「じゃあ一緒に食べましょう」


「そうだね。そうしようか」


私達に出来る事は何もないのだから。

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