異世界トランスファ
「私の父もドラゴンだった」
凄い家系です。
動物超えてますもの。
「ドラゴンは、怒り狂うと自我を保てなくなる。小さい頃から穏やかに過ごせと言われてきた」
こくこく。と私は必死に頷く。
「父はある日突然黒龍になり街を燃やし始めた。自我の保てない父は国を滅ぼしかけた。
そして・・国を守る為に父はそのまま殺されてしまった。あっけなくな。」
「えっ」
「その時の理由は今となっては死んだ父にしか分からないが・・これは余程の感情が無いと変貌出来るものではない」
「戻り方は無かったんですか?」
「ああ。もしなってしまった場合は暴れまわり疲れ果て、気を失ってようやく元に戻る事しか今の所解っていない」
「そ、そうなんですか・・・」
怖すぎる。ドラゴンの家系。
「でも今までは・・」
「つもり積もってしまったのだと思う。
どうにもギンの食って掛かる目が脳裏に焼き付いてしまっていた。挑戦的な目がな」
「・・ごめんなさい。あの・・私のせいですよね?」
顔向けできない。こんな恐ろしい事。
「お前が抱きしめてくれた事で我を取り戻せた。良しとしよう」
頬を優しく撫でてくれる。
それからいつもの優しい微笑み。
「いつの間にか、お前は私にとって本当に大事な存在になっていたのだな」
ドキ・・
「トキワ様・・」
「女など・・子孫を残すためにのみ必要と思っていた私が。愛しいとさえ思ってしまった。だから、感情が出てしまったのだ」
トキワ様がそんな風に思ってくれていたなんて。
申し訳ない気持ちで胸が締め付けられた。
私は俯いたまま、ただただ話を聞いた。
「ほんの少しでいい。今は・・こうしていてくれ」
ソファーに座わり手を握って、肩を寄せる。
「愛してる。この感情は本物だ」
小さな声でつぶやいた後、トキワ様は静かに目を閉じた。
「・・・」
返事は出来なかったけど、私は小さくこくりと頷いた。
こんな私を真剣に好きになってくれる人がいる。
ギンも、ナギだって。
でも一人しか選べない。
私は一人しかいないから。
トキワ様は何をするわけでもなく、優しい時間をくれた。
今のこの穏やかな時間は、守らなければ。
この人を真っ黒なドラゴンにさせるわけにはいかない。
あんな苦しそうな顔はもう見たくない。
そう思った。
凄い家系です。
動物超えてますもの。
「ドラゴンは、怒り狂うと自我を保てなくなる。小さい頃から穏やかに過ごせと言われてきた」
こくこく。と私は必死に頷く。
「父はある日突然黒龍になり街を燃やし始めた。自我の保てない父は国を滅ぼしかけた。
そして・・国を守る為に父はそのまま殺されてしまった。あっけなくな。」
「えっ」
「その時の理由は今となっては死んだ父にしか分からないが・・これは余程の感情が無いと変貌出来るものではない」
「戻り方は無かったんですか?」
「ああ。もしなってしまった場合は暴れまわり疲れ果て、気を失ってようやく元に戻る事しか今の所解っていない」
「そ、そうなんですか・・・」
怖すぎる。ドラゴンの家系。
「でも今までは・・」
「つもり積もってしまったのだと思う。
どうにもギンの食って掛かる目が脳裏に焼き付いてしまっていた。挑戦的な目がな」
「・・ごめんなさい。あの・・私のせいですよね?」
顔向けできない。こんな恐ろしい事。
「お前が抱きしめてくれた事で我を取り戻せた。良しとしよう」
頬を優しく撫でてくれる。
それからいつもの優しい微笑み。
「いつの間にか、お前は私にとって本当に大事な存在になっていたのだな」
ドキ・・
「トキワ様・・」
「女など・・子孫を残すためにのみ必要と思っていた私が。愛しいとさえ思ってしまった。だから、感情が出てしまったのだ」
トキワ様がそんな風に思ってくれていたなんて。
申し訳ない気持ちで胸が締め付けられた。
私は俯いたまま、ただただ話を聞いた。
「ほんの少しでいい。今は・・こうしていてくれ」
ソファーに座わり手を握って、肩を寄せる。
「愛してる。この感情は本物だ」
小さな声でつぶやいた後、トキワ様は静かに目を閉じた。
「・・・」
返事は出来なかったけど、私は小さくこくりと頷いた。
こんな私を真剣に好きになってくれる人がいる。
ギンも、ナギだって。
でも一人しか選べない。
私は一人しかいないから。
トキワ様は何をするわけでもなく、優しい時間をくれた。
今のこの穏やかな時間は、守らなければ。
この人を真っ黒なドラゴンにさせるわけにはいかない。
あんな苦しそうな顔はもう見たくない。
そう思った。