異世界トランスファ
「あー、めんどくせえな。お前らこの部屋入室禁止な」

「え!?ナギ様!?」


ぐいぐいと侍女たちはナギに押されて廊下へ放り出された。


バタン。


そのままナギも廊下へ出て行った。






しん。


ギンと私だけになり、部屋は静まり返った。


ドカッ!

とワザと荒っぽく椅子に座った私を、ギンは焦りながらもなだめてきた。


「おい、マジでさっきのは知らねえ。あいつらが勝手に言ってきただけだからな」


「どうだか」


顔を背けるとギンも少しムキになってきた。


「ホントだよ!信じろって!」


「・・・」


よく言うわよ。なんで他の女の人にはあんなにデレデレしちゃうのよ。

私にはあんな顔した事ないくせに。


「まんざらでもなかったじゃん」

「そんな事ねえって。俺はお前だけ」


ギンは右手で私の頭を抱き寄せた。


「・・ん・・」


互いの唇を探り合い、それから目を見つめる。


「お前だけだ」


「ギン・・」


じんわりと涙が溢れてしまった。

やっぱりこの人が近くにいるとホッとする。

安心できる。

そう再確認した。

< 733 / 850 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop