異世界トランスファ
「入るよ、ギン、ヒオリ」


とノックも無しにセンリが部屋に入ってきた。

というか、すでに入っていたらしい。全然気が付かなかった。


「朝から見せつけないでくれる?こっちは仕事で来てるっていうのに」


「ななっ!センリいつの間に!?え!?見た!?え!?///」


「ノックくらいしろよ」


とギンは私をおもむろに抱きしめる。

センリはニコリと微笑みながら近づいてきた。

嘘っぽい笑みだが。


「ヒオリ、そんな事してていいのか?トキワ様が嘆くよ」


ドキリ。


「あ、えっと・・だってそれはもう」


「?」


状況が読めずにギンは首を傾げている。


「と、そんな話をしに来たんじゃないんだ。装置についてなんだけど」


「あ・・はい」


話が切り替わり私は内心ホッとしてしまった。

だからギンがそれを察していたなんてちっとも気が付かなかった。

故にギンは不機嫌なままセンリの話を聞いてたみたい。



「保護した教授から知っている事を全て聞き出している最中なんだけどね」


「!?」


前日に聞いたセンリと同業の教授の話だ。


「教授はあの場所の装置しか知らないらしい。俺から半年前に動かし方を聞いていたらしい」


「それで?」


「で、教授を攫っていた者たちは南の国の城の護衛だった。アサギが教えてくれた情報で合っている。南も今装置を探しているらしいね」


ドキン


やっぱり話が大きくなり始めている。

世界規模で始まっている。


「俺は一旦知り合いの教授に集まってもらって話をしたいと思っているから西に帰るけど、ヒオリも来てほしい」


「え・・・」


「この東の国は今もっとも危ないだろ?何処からも狙われている。大国の傘下ではない小民族も狙っているらしいし」


「そうなの!?」


「だからそんな所にはヒオリを置いて行くという選択はない。護る為にもトキワ様の傍にいてくれ」


ズキン


トキワ様の名前を聞くたびに心が痛い。


ギンにもまだ言えてない事がある。

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