異世界トランスファ
「あの・・逃げないので教えて下さい」

「お前、言葉が妙だな。何故古代の言葉が混じっている?」

「あ・・え?・・わかるの?」

「我らは古き時代を重んじる。多少は理解できる」


凄い、そんな人たちがいたなんて・・。

ある意味今の私にとっては助かるんだけど。


「ここはどの辺なんですか?東の国ですか?西の国ですか?」

「それは・・・!」


ザッ

と急に男は立ち上がったので、私は聞いてはまずかったのかと思って奥の方へと逃げ込んだ。

目つきが凄く鋭くなったからビクついてしまった。



「ここはどの国にも属さない。辺境の地コウガの里だ」


と奥から別の人の声が聞こえてきた。

どうやら偉い人が登場したみたいだ。近くにいた男は敬礼している。


「二人手に入ったと聞いていたが、まあ良い。一人でも上々」


顔はやはり隠しているのであまりよく確認は出来ないけど、野太い声の男の人だ。

おそらく50代くらいのおじさんだ。



「どの国にも属さないって・・?」

「聞いたことがなくても仕方がない。訪れる者などいないからな」


と喋りながら男は牢屋の中へ入ってきた。


誰かに似ているけど思い出せない。

この人一体・・。


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