異世界トランスファ
「ギン!!一発なぐらせろおおおっ」


ブンッ


とナギの拳がギンの右頬にヒットした。


「!!!」


それには全員驚いた。

ギンが避けなかったから。


それからギンはナギの手を取って、一言何かを言ってからナギの右頬に拳をめり込ませた。



「ナギ!!」



その攻撃力ってば、ナギを吹っ飛ばすほどだった。



「いてて・・加減しろよ・・てめえ」


「お前に加減なんてしたこと一回もねえよ」


そう言って背中を向けたので、私はギンの腕を必死に掴んだ。


「ギン!!」

「・・・」

「ねえ・・ギ」


ギンは私の事、嫌いになっちゃった?


脳裏にそんな言葉が浮かんできた。

聞けばすっきりするのかと思って。

諦められるのかと思って。

聞かなきゃいけないと思った。


言葉を失ってしまった私の方へ、ギンは向いてくれた。



「そんな顔すんな」


「っ・・・」


突然ギンは私のしてるネックレスを握りしめた。


「・・・」


私はその手を両手で握った。

その大きな手はとても熱かった。


「こ、これは駄目。もう私のだから」


ちぎられるのかと思ってそう言ってしまった。






ギンの表情は冷めたままに見えたけど


「・・ああ。お前のだよ」


最後のその言葉はとてつもなく温かい声だった。




そんな気がした。


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