異世界トランスファ
「ヒオリがギンを好きなの知ってるけどさ」


ドキン


「でも、俺の事も好きだろ?」

「えっと・・まあ」

「うんて言えよ馬鹿」

「あ・・うん」


私にとって家族愛が強くて。ナギにとってはそれは筋違いなのかな?

怖くて聞けないけど。


ナギの右手が私の左手をギュッと捕まえた。


「俺の傍にいてくれよ」

「・・・」

「俺は、どこにも行かないけど?」



そう言われ一気にぐあっと辛い感情がこみ上げてきた。

酷いとも思った。


「ナギ・・それは・・言わないでよ」

「ワザとだ」


潤んでしまった瞳に、ナギがぼやけて映る。


「お前がギンを好きでもいいよ。でも俺の事も好きでいてくれるなら、それだけでいいんだ」


「ナギ・・」


「俺、絶対に良い王になってやるよ。ギンも、センリもトキワも超える」


「ぷっ・・すご」


「初めはきっと批判だらけだぜ?でも、それを覆してやる。俺にはそれが出来るきっと」


「・・・うん」


ナギなら出来るよ。

だって凄く自信に満ち溢れてて、真っ直ぐ前を見つめてるもん。

自分を信じてる感じがひしひしと伝わってくる。

カッコいいよ。



「出来るよ。ナギなら」

「うん」


ナギは立ち上がって背伸びした。


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