クール彼氏とツンデレ彼女


私は体育館を出て、校舎裏に行った。


特に意味はないけど、なんとなく傷心を癒すには花かな、と思って花壇があるここに来た。



でも花を見ててもモヤモヤは消えなかった。


私はベンチに膝を抱えて座る。


花を見に来たはずなのに、私の視界は土でいっぱいだった。



すると突然、後ろから抱きしめられた。



「ひゃっ」


柄にもない悲鳴を上げてしまい、自分で引いてしまう。



「……見つけた」



耳元で、聞きなれた低い声がした。



「井下……?」



井下は手を放し、隣に座った。



「お前、俺を応援するんじゃなかったのかよ。なんで途中でいなくなってんの?」


「ご、ごめん……」



井下、怒ってる……


でも、当然だよね。



私が言ったから、井下はバスケをした。


それなのに……



「理由は?」



理由を、素直に言えない。



「島谷」



どんな言い訳をすればいいか悩んでいたら、これ。


正直に言うしかないじゃないか。

< 18 / 69 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop