クール彼氏とツンデレ彼女
「井下が……ほかの女子にモテてるのが嫌だった」
井下の顔を見れるはずもなく、私はうつむいていた。
それなのに、井下は私のあごに手を当てて無理やり上げると、正面から抱きしめられた。
「え、ちょっ……」
私の言葉を遮るように、井下は唇を重ねてきた。
「可愛いな、島谷は」
だ、だからってキスすることはないでしょ……!?
「どれだけモテたって、嬉しくねえよ。俺は、お前にだけ好かれてたらほかはなにもいらない」
「……本当に?」
井下のことをかっこいいって言ってた女子の中には、私より可愛い子がたくさんいた。
いくら井下でも、そんな子たちに好きだって言われたら、嬉しいに決まってる。
「疑うのか。なら、わかってもらえるまでキスする」
「はい!?」
いや、え!?
この人なに言ってるの!?
「バカなの!?」
「バカじゃない」
ここで真剣な顔しないでよ……
「……わかってるよ。だから、しなくていい」
「あっそ。残念」