クール彼氏とツンデレ彼女
恥ずかしげもなく、むしろ私の質問に疑問を抱いたかのような表情で言われた。
ああもう!
井下ならそう言うと思ったよ!
可愛いって言葉以上に、こっちが恥ずかしくなるようなことを平気で言う。
……だから嫌だったんだ。
「さてと。そろそろ花火見る場所確保しないと見れなくなるな」
井下は腕時計で時間を確認した。
私は浴衣に合わないからという理由で、腕時計は付けるなってお姉ちゃんに言われて、ない。
そしてスマホを出すのも面倒で、井下の腕時計を覗き込んだ。
「かき氷しか食べれなかったね」
「俺は瑠花に食われたから、なにも食ってない」
……そうでした。
花火の見やすい場所には、まだそこまで人は集まってなくて、いい場所が取れた。
「ちょっと買ってくる」
「あ、私も……」
ついて行こうとしたら、止められた。
「浴衣じゃ動きにくいだろ」
「……だね。いってらっしゃい」
私はその場に残ることにした。
せっかく取った場所が他の人に取られても困るもんね。