クール彼氏とツンデレ彼女


彼はなにをするわけでもなく、爽やかな笑顔でそう言った。



あーれーれー……


想像以上のイケメンなんですけど!?



イケメン君に見とれていたら、その奥にたくさんの野次馬が目に入った。


なにやら、イケメンを一目見ようと女の人たちが集まったらしい。



私が気付いたのと同時に、私の腕を掴まなかったもう一人の男が気付いた。



「お、おい、やべえよ。逃げようぜ」



イケメン君と睨み合っていた男は舌打ちをし、走って逃げていった。



「あの、ありがとうございました」



イケメン君にお礼を言うと、彼は穏やかに笑った。



「気にしないで。困ってる人は放っておけないタチなんだ」



性格までイケメンかよ……!



「島谷?」



すると、買い物を終えた井下が戻ってきた。



「おや、彼氏さんのおかえりかな?」



ええ、その通りです。



「お前、なにしてんだよ」



なにも知らない井下は、彼を睨んだ。

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