クール彼氏とツンデレ彼女
そこは安心して欲しいなあ。
まあ、そんなことはさておき。
須藤君の考え方は正直好かないんだよね。
「可愛いから、かっこいいから好きっておかしくない?見た目で好きとか、長続きする付き合いとは思えないけど」
視界の端で、井下が頷いているのが見える。
なんだろう、嬉しいような恥ずかしいような気分になる。
「……面倒だ」
おや?
仮面が崩れたかな?
それとも本音が漏れたのかな?
どっちにしろ、その須藤君のほうがまだ好きになれそう。
……選ばないけど。
「わかるぞ、奏汰。この二人はとにかく面倒なんだよ。俺たちの想像するカップルじゃないからな。普通じゃない」
水口に同意されてもねえ、なんて、私が言うことじゃないよね。
……そして普通じゃないってのは聞き捨てならない。
「もういい?」
だから反論しようとしたら、井下がつまらなそうに言った。
「紗知ちゃん。僕、諦めないから」
教室に向かおうとする井下を追いかけようとしたら、須藤君に腕を掴まれた。
須藤君なりに真剣なんだろうなあ、とは思うけど。
これはこれで迷惑なんだよ。
「わかったってば」
私は手を振り払い、足を進めた。