クール彼氏とツンデレ彼女
「楓真くんのことをどれだけ好きになっても虚しいだけだからね」
どういう喧嘩の売り方ですか。
でも、なんとなくそうかなとは思っていたけど、この言葉でこの人が楓真の元カノなんだと確信してしまった。
「人を欠陥人間みたいに言うなよ」
「そうは言ってないもん」
二人の会話に入れなくて、私はお姉ちゃんのところに行こうとした。
だけど、楓真に捕まった。
「もういいか?」
彼女との会話がまるでなかったかのように、むしろ彼女に興味がないように、楓真ははっきりと言った。
当然だけど、彼女は怒って店を出ていってしまった。
「……あんなふうに言わなくてもよかったのに」
なんて言うけど、少しだけ、はっきり言ってくれてよかったと思う自分もいた。
「どうしたって文句言うだろ。それなら、紗知が不安にならないようにする」
「かっこいいねえ、楓真君。紗知と出会う前はとんでもない最低野郎だったみたいなのに」
影で見ていたのか、お姉ちゃんがそう言ってきた。
楓真は見られたくないところを見つかったみたいに、お姉ちゃんから顔を逸らす。
「実は紗知とも適当に付き合ってるんじゃない?」