クール彼氏とツンデレ彼女
……そういえば、お姉ちゃんたちとのときも、そんな感じなこと言ってたっけ。
「別に、嫌なわけじゃ……ただ、みんなで遊んだら楽しいかなって……それに、瑠花ちゃんに会いたいし」
言い訳のように言ったけど、楓真はただ私を見つめているだけだった。
これは……怒ってるの?
納得してくれたの?
「僕と瑛斗がいるのに、よくそんなにイチャつけるね」
「今のどこが!?」
「無自覚な紗知ちゃんは可愛いね」
須藤君が頬を緩めると、楓真は廊下の窓を閉めた。
須藤君は間一髪で挟まらず、もう一方の窓を開ける。
「危ないなあ、もう。紗知ちゃん、嫉妬ばっかりする束縛男より、僕にしなよ」
そうやって喧嘩売るから変なことになると思うんだ、須藤君。
「そうだそうだ。こんな野蛮な奴、捨ててしまえ。そして俺に勝利を」
なんの勝利だ、水口。
一人になった楓真を笑いたいだけでしょ。
でも、お生憎様。
「私は楓真と別れない。ごめんね、須藤君」
「そっか、残念」
「なんで俺にはなにも言わないんだよ!」
そんな水口を、私と須藤君が笑う。
その中で静かに読書を再開する楓真。
なんてことない日常。
だけど、私にとって、かけがえのない瞬間。
これからも、みんなと笑っていられますように。