ヒロインの条件
『今から会えない?』
千葉が言った。
「今から?」
『うん』
どうしよう、今あっても何をいったらいいかわかんない。
『できれば佐伯って奴に会わせてほしい』
「えっ? なんで!?」
『宣戦布告』
ああもう、汗が止まらない。ヒロインのエネルギーは、こんなことで消費されるんだ。
「佐伯さんはまだ会社だけど、とりあえず聞いてみる」
「何を?」
突然後ろから声がしたので、「うひゃ」と変な声をあげて飛び上がってしまった。バッと後ろを売り向くと、笑いをこらえる佐伯さんがいた。
「告白してきた友達が、俺に会いたいって?」
私はあっけにとられて、口をあんぐりと開けてしまった。
「いいよ、俺も会いたいから」
私のスマホに向かって、佐伯さんはそう呼びかけた。
そっか、今夜は三人で食事か……どうなるの?!