日常なままの境
買いためていた食事もなくなり、静かになった深夜2時、
仕事も休んでいたから、1週間ぶりとなる外に買い物に出かけた。

24時間空いているスーパーに行って帰ると、玄関に人が立っていた。
オートロックだから、酔っ払いが家を間違えたのか?と思いつつも、
ちょっと怖くて、恐る恐る近付いたら、彼だった。

「何してんの?」

「こっちのセリフだけど」

「スーパーに買い物に」

「見ればわかる」

「(じゃあ、聞くなよ)」

「話あんだけど」

「こんな夜中に?」

「こんな夜中に」

「うち、汚いから無理」

「じゃあ、うちで」

「眠いし」

「今、買い物に行ったのに?どうせ、さっき起きたんだろ」

「・・・・」

「とりあえず、荷物置いてくれば?」

家に入ったら出なければいい。
そう思ったけど、淡々と話していた彼の顔が目に焼き付いて、
ドアの前から感じる彼の存在が、私を動かした。
< 10 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop