日常なままの境
「好きなんだ。もう、離れたくない」

そう言って抱きしめた手が震えていた。
思い出せないけど、全然嫌じゃなくて、温かくて、
ずっとモヤモヤしてた心が、すーっと落ち着いて行く。
人前で泣いたことなんか、ここ最近なかったのに。

「ありがとう。私も・・・好き」

胸がいっぱいで、早く伝えたいのにうまくしゃべれなくて、
やっとの事で、そう口に出せたら、ぎゅっと腕の力が強まった。
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