日常なままの境
こんな世の中にならなければ、知り合うこともなかったお隣さん。
富士山の噴火と共に、未確認生命体が溢れ、日中は外へ出れなくなった。
どう生きて行けばいいのかわからなくなり、
ベランダに出て、ぼーっと星を眺めて煙草を吸ってたら、声をかけられた。

「星空見てたら、いつもと変わらないように見えるよねー」

「そうですねー」

それから、少しずつ会話が増え、お互いの部屋に行き来するようになり、
1週間を過ぎた頃。

「実はさ、俺、移動を考えてて。ここに居てもしょうがないし。
 確信はないけど、南の方に行ってみようかと思ってる」

「え?大丈夫なの?」

「まぁ、体力も腕も多少自信はあるから」

「そっか」

私の現実逃避もここまでかと思った。
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