となりのキミと
何あいつ。
ちっとも練習してないじゃん。
輪に交わらず、1人無愛想に佇んでいる。
がむしゃらにボールを追いかけて、交互に休憩をとっては再び仲間のもとに戻る男子達とは違う、そんなオーラを感じる。
感じ悪いやつ。
そう思った。
陽の光が少しばかり優しくなり始め、練習も試合形式になってしばらく、みんなの体力も尽きてきたのだろう。
どこからともなくラスト1回のかけ声が聞こえてきた。
その時だった。
辺りに同化するほど微動だにしなかったアイツが、立ち上がった。
男子達はすぐに気づき、当たり前かのごとく輪に迎え入れる。
何を言うわけでもなく、最後のひと試合が始まった。
疲れが見える他とは違い、じつに機敏なその動きが、那奈には腹立たしかった。
練習試合が終わり、それでもボールを転がしながら歩く仁に、思わず声をかける。
「仁!さっきのなに、あれ。あいつだけなんであんな特別待遇なの?」
「真宮のこと?あいつはあれでいいの。何考えてるかよくわかんねぇし、まぁ上手いからいいんじゃん」
「なにそれ。あれでカッコつけてるつもり?あーこわ」
「しらねーよ。最初は誘ってたけど、俺のタイミングで参加するとしか言わねーし」
「あいつそんなこと言うの?ほんと感じわる!」
直接話してもないのに、腹が立ってきた。
「那奈、うしろっ!」
美晴の声に振り向くと、そこにはまっすぐこちらに向かって歩いてくる「アイツ」の姿があった。
凍りつくとはこのことと言わんばかりに、那奈の体が固まる。
その横を、またしても表情ひとつ変えずに「アイツ」は通り過ぎていった。
ちっとも練習してないじゃん。
輪に交わらず、1人無愛想に佇んでいる。
がむしゃらにボールを追いかけて、交互に休憩をとっては再び仲間のもとに戻る男子達とは違う、そんなオーラを感じる。
感じ悪いやつ。
そう思った。
陽の光が少しばかり優しくなり始め、練習も試合形式になってしばらく、みんなの体力も尽きてきたのだろう。
どこからともなくラスト1回のかけ声が聞こえてきた。
その時だった。
辺りに同化するほど微動だにしなかったアイツが、立ち上がった。
男子達はすぐに気づき、当たり前かのごとく輪に迎え入れる。
何を言うわけでもなく、最後のひと試合が始まった。
疲れが見える他とは違い、じつに機敏なその動きが、那奈には腹立たしかった。
練習試合が終わり、それでもボールを転がしながら歩く仁に、思わず声をかける。
「仁!さっきのなに、あれ。あいつだけなんであんな特別待遇なの?」
「真宮のこと?あいつはあれでいいの。何考えてるかよくわかんねぇし、まぁ上手いからいいんじゃん」
「なにそれ。あれでカッコつけてるつもり?あーこわ」
「しらねーよ。最初は誘ってたけど、俺のタイミングで参加するとしか言わねーし」
「あいつそんなこと言うの?ほんと感じわる!」
直接話してもないのに、腹が立ってきた。
「那奈、うしろっ!」
美晴の声に振り向くと、そこにはまっすぐこちらに向かって歩いてくる「アイツ」の姿があった。
凍りつくとはこのことと言わんばかりに、那奈の体が固まる。
その横を、またしても表情ひとつ変えずに「アイツ」は通り過ぎていった。