3月生まれの恋人
柊×侑月
『最悪・・・』
見上げた空からは大粒の雨・・
師走、12月。
クリスマスを来週に控え、華やかなイルミネーションが街を彩る中
あたしは寒さに震えながら空を見上げた。
『あたしが一体何したっていうのよぉ・・・』
事の起こりはつい一時間程前。
付き合って丁度半年になる彼、和真へのクリスマスプレゼントを選びに来た街で事件は起きた。
彼へ贈る、初めてのプレゼント
営業部に勤める和真には絶対これだと
あたしは最近人気のセレクトショップでネクタイを物色中だった。
クリスマスが近いこともあり、土曜日の午後、店内は大盛況
若い女性やカップルで埋め尽くされたフロアで、聞き慣れた和真の声を耳にした時
あたしは本気で驚いて目を見開いた。
『綾香、そろそろ映画始まる。』
二メートル程しか離れていない、マフラーの飾られた棚の前
声の主に目をやると、見慣れた黒いダウンジャケットを羽織った和真が、
背の高い、モデル係美女の腰に腕を回し
絶妙なタイミングであたしの方に体を向けた
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