3月生まれの恋人
顔を見合わせた一瞬、時が止まる
『侑月?』
目の前の光景を理解できず固まるあたしに、一呼吸おいて和真が呟く
『和真・・・』
その先を、どう続けたらよかったのだろう・・・
彼女の腰に廻ったままの和真の腕が、その関係を如実に物語っているようで
和真の為に手にしたネクタイを握りしめたまま
あたしの足はその場に凍りついた
『もしかして、侑月さん?』
あたしと和真が互いに無言で佇む中
意外にも最初に口を開いたのは、和真が“綾香”と呼び捨てた彼女だった
あたしがその唇に一度ものせたことの無い“朱”を品よく歪めるその人
『綾香』
和真は、言葉を続けようとした彼女を制すると
意を決するかのようにあたしの元へと歩み寄ってきた
『侑月』
彼女の腰から離れない和真の腕は、言葉の続きを容易に連想させる
『どおゆうこと?』
答えなんて解りきっているのに、あたしの口がそう呟く
『ごめん、見てのとおり・・・』
予想のついていた、一番聞きたくない台詞を耳にして
あたしは手の中のネクタイを陳列棚に放ると
そのまま店の外へと駆け出した
『侑月?』
目の前の光景を理解できず固まるあたしに、一呼吸おいて和真が呟く
『和真・・・』
その先を、どう続けたらよかったのだろう・・・
彼女の腰に廻ったままの和真の腕が、その関係を如実に物語っているようで
和真の為に手にしたネクタイを握りしめたまま
あたしの足はその場に凍りついた
『もしかして、侑月さん?』
あたしと和真が互いに無言で佇む中
意外にも最初に口を開いたのは、和真が“綾香”と呼び捨てた彼女だった
あたしがその唇に一度ものせたことの無い“朱”を品よく歪めるその人
『綾香』
和真は、言葉を続けようとした彼女を制すると
意を決するかのようにあたしの元へと歩み寄ってきた
『侑月』
彼女の腰から離れない和真の腕は、言葉の続きを容易に連想させる
『どおゆうこと?』
答えなんて解りきっているのに、あたしの口がそう呟く
『ごめん、見てのとおり・・・』
予想のついていた、一番聞きたくない台詞を耳にして
あたしは手の中のネクタイを陳列棚に放ると
そのまま店の外へと駆け出した