3月生まれの恋人
それが丁度今から一時間程前。
店を飛び出したあたしは、当てもないままに街を走り抜け
自宅方面へと向かう電車に飛び乗った
最寄り駅まで約10分
今にも決壊しそうな涙腺を押し留めて、ようやく駅にたどり着いたあたしは
外で降り出した雨に呆然と立ち竦んだ
泣き出したいのはこっちなのに、一足先に空に泣かれてしまうなんて
改札を抜けて、傘を買う気力も無いままに・・・
あたしはフラフラと見慣れた街に一歩を踏み出した
考えてみれば、出かけたときは青空で
初めて選ぶプレゼントに気分はウキウキだったのに。
そういえば、今朝の星占い・・・魚座は最下位だったっけ
最早、なにかを考える事すら億劫で、雨足の強くなった街をあたしはふらふらと歩きだした。
びしょ濡れの髪も、服も、もう気持ちが悪い感覚すら湧かない
好きだった・・・
本気で好きだった・・・
和真に裏切られていた自分が悔しくて情けなくて
髪を伝って流れる水滴が、雨なのか涙なのか
もう、判別がつかない。