全力、青春。
傷はそんなになくて、あったとしても
かすり傷程度だった。
血は出ていなかったし。
大したことは無かった。
取り敢えず、ヤンキーくんにお礼を言わないと。
「えっと、助けてくれて、ありがとうございます。」
あたしがそう言うと、ヤンキーくんはあたしの顔をじっと見た。
「君、神崎玲衣…、だよね?」
「えっ?あっ、はいそうですけど…」
神崎玲衣。
あたしの名前だ。
なんで初対面なのに、あたしの名前を知ってるんだろう。
「なんで、あたしのこと知ってるんですか?」
不思議に思ったことをそのままヤンキーくんにぶつけた。
「…去年、関東大会で優勝してたよね?
俺、その試合見てたから」
あぁ…
そういうこと、ね。
「そうなんですか。」