プロポーズ(第7話)

「ふざけるなッ。いつ依頼したと思ってるんだ。ほら、ここを見ろ。15日だぞ。1週間、なにをやってたんだ。たとえ締切りが27日でも、1週間のうちには、ひとまず完成させておくもんだろう。それが常識ってもんじゃないのかよ」

あ、こいつ、開き直りやがったな。

と思ったが、もちろん口には出さない。

「申しわけありません。うちの課はパワー不足で、なかなか前倒しで仕事を進めることができません。来週、できるだけ早く仕上げるようしますので」

「それじゃ遅いんだよ。明日の午前中いっぱいに、お客のところへ持っていく約束なんだよ」

「は?」

わたしの目は、まん丸に開いてしまった。

なに、この人? 

じゃあ、これって20日がマストの仕事なんでしょ。

それを27日と間違えたうえに、途中で、経過ひとつもフォローしていなかったわけ? それで今ごろになって怒鳴っているわけ? あきれた。

営業マンというのは、お客に対してペコペコしている分、社内に対してはいばり散らす傾向があるが、これはあんまりだ。

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